導入事例
CASE
導入製品名:テストエース
テストデータ品質向上と作成工数削減。同時に実現できた手法とは
住友林業情報システム株式会社様
事業内容 | 情報システムのコンサルティング、 システムインテグレーションサー ビス、ソフトウェア開発、 ネットワークソリューションサービス、 ヘルプデスク、IT教育、EDIサービス |
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URL | https://www.sumirin.co.jp/ |
所在地 | 千葉県千葉市美浜区中瀬1-3 幕張テクノガーデンB棟7階 |
設立 | 1991年11月1日 |
資本金 | 1億円(住友林業株式会社100%出資) |
従業員数 | 128名(2018年4月1日現在) |
独自ツールからの脱却。目指すはマスキング手法の統一
今回は、住宅システム部 シニアマネージャーの武石憲二郎氏とチームリーダーの長谷部智哉氏にお話を伺った。
住宅システム部は、同社の住宅に関わる基幹システムの開発・運用だけではなく、グループ会社各社の基幹システムの企画・設計・開発なども手掛ける非常に重要な位置づけの部門である。武石氏は部長補佐として部内の3つのグループ管理の他、現場の課題への助言や部門を跨ぐ課題の調整などを行い、長谷部氏は基幹システムの共通基盤の開発・保守を担当する共通グループのチームリーダーを務める。
同社では2012年4月、テストデータをマスキングするという社内ルールを遵守するため、テストエースの前身製品DBエース データマスキングエディション(以下、DBエース)を導入した。主要なテーブルや新規システムでの利用は浸透したが、同製品を導入する前から存在していた独自ツールも依然、使われ続けており、マスキング手法は統一できずにいた。その後、DBエースがマスキングだけではなく擬似データへの変換や個人情報自動解析機能を強化した新製品テストエースにバージョンアップし、従来以上に高品質なテストデータが作成できるようになったことを機に、テストエースの活用によるマスキング手法の統一を目指し、本格的な業務改革に乗り出す。
ほどなく結成されたのが、マスキング手法統一と個人情報項目の一元管理を目的とした”データマスキング手法統一チーム”である。チームメンバーは各グループから選出された2名ずつの6名で構成され、長谷部氏がリーダーとなり、統括責任者を加えた計7名という体制だ。活動計画は前半の5カ月間を現状調査と整理に充て、10月からの後半4カ月間を準備期間とし、約1年後の2018年2月に本運用開始というものだった。(※下図参照)
“データマスキング手法統一チーム”による社内調査の結果、約10個もの独自ツールの存在が明らかとなった。また、同じテーブルをマスキングするツールが重複して作られていたり、基幹システムや担当者ごとにマスキング手法が違うため、マスキング後の粒度が異なり、データがマスキングされているのかどうかを確認することが難しいという課題も見つかった。複数の独自ツールが存在した背景について武石氏はこのように話す。
「システムとしてレスポンスを求められるものは、どうしてもテーブルごとに個人情報を持たせる設計になります。そのため、例えば新しいテーブルを増やすという案件で対象テーブル内に個人情報が含まれていれば、マスキング処理が必要になります。マスキングを行う際、過去に作成したツールを再利用できればいいのですが、その存在が社内共有されていないことも多く、その都度、新たにツールを作成するというループで独自ツールが増えてしまったようです」
社内調査では、それらの独自ツールの利用が業務効率の悪化だけではなく、システムの品質低下の一因であることも突き止めた。同社では「アアアアアアア」や「イイイイイ」というデータや、「●」「※」などの記号で塗り潰すマスキング手法が多用されていたが、このような文字列は本番データではあり得ないため、開発環境で利用するテストデータとしては品質が低く、正しい検証結果を求めるには適していなかったのである。
品質向上と工数削減が同時に実現できることを確信
チームはその後、約2カ月間を費やして、個人情報が含まれるデータベースとテーブルをすべて洗い出し、個人情報項目台帳への記入を行った。その結果、個人情報が含まれるデータが延べ数百テーブル・数千万レコードを超えることや、独自ツールを利用した対応や改修に費やす工数が1案件あたり平均40人日に上ることなどが判明した。
並行してテストエースの機能を精査し、テストエースを利用してマスキング手法を統一すればテストデータの品質向上と作成工数削減が同時に実現できると結論づけた。その理由を2人は次のように話す。
「GUIで直感的な操作が可能で、マスキング実行前にプレビューで確認できる点や、自動的に個人情報を判別してくれる個人情報自動解析機能は、作業効率化の推進力となりました。また、擬似データの漢字の氏名・住所とカナの氏名・住所が連動しているなど、テストデータの品質向上が簡単に実現できることもこの製品の強みだと思いました」(長谷部氏)。
「テストエースで変換した擬似データは非常にリアルで、一見、本番データではないのか?と感じてしまうほどでした。マスキング漏れした本番データではないのかと本気で疑いました」(武石氏)。
運用開始直後に実感できた導入効果。工数の75%を削減
すべての調査を終えたチームが次に取り組んだのは本運用に向けた準備だ。それまで独自ツールでばらばらにマスキングが行われていた開発環境内のテストデータをすべてテストエースによって再マスキングし、マスキング手法を統一した。同時に、新たに運用を始める個人情報項目台帳の整備や手続きフローの策定も行い、本運用に備えた。(※下図参照)
本運用に先駆けて各担当者向けに行ったテストエースの操作教育では「GUIで分かりやすい」「今までのツールが利用できなくなることに不安を感じていたが、これならば抵抗なく利用できそう」など、好意的な反応が多かったという。「変換後のデータが本物っぽくて、本当にマスキングできているか疑問だった」という声もあり、改めてテストエースで作成したデータの品質の高さを実感したと長谷部氏は語る。
導入効果は、本運用開始後すぐに顕著な数字となって現れた。
「テストエース導入前は40人日の工数を掛けていた案件が10人日程度で終わるようになりましたので約75%削減できたことになります。マスキング手法の統一とともにテストデータの品質向上も実現でき、変換する項目が増えても、これまでのように新たなツールを作成する必要が無くなりました。本運用後に課題が一つも上がっていないことは”データマスキング手法統一チーム”のリーダーとして嬉しいです。現在は『CROSS』と呼ばれる顧客管理システムでの利用にとどまっていますが、利用範囲を拡大して欲しいという声が大きいです」(長谷部氏)。
社内での反響の大きさに驚きつつも、今後の展望はすでに明確に描かれている。
「当社の開発環境はパートナー企業など様々な方が利用している性質上、情報漏洩リスクは常に潜んでいると考えています。個人情報の管理も規制が一層厳しくなっていますが、今回の導入で個人情報漏洩リスクを回避できただけではなく、マスキング手法が統一されておらず低品質だったテストデータを本番データと同品質まで向上させることもでき、非常に助かりました。今後は、個人情報がより厳格に管理できるようなフローを確立したいと思います」(武石氏)。
「今はまだ、テストエースの一部の標準的な機能しか利用できていないのが現状です。例えばCUI実行機能で並列処理が可能なことを周知するなど、活用の幅を広げていきたいです。また、今回確立した個人情報項目台帳への登録・変更申請手続きフローは、半期に一度、棚卸をする予定ですので、今後もしっかり運用していきたいと考えています。これまでの非効率な業務から脱却できたので、継続して取り組みたいですね」(長谷部氏)。
同社のテストエースに寄せる期待は大きく、さらなる業務効率化のための挑戦は続く。
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