導入事例
CASE
導入製品名:テストエース
2~3名で1週間かかっていた作業を2日で短縮し、質の高いシステム開発を実現
楽天生命保険株式会社様
URL | https://www.rakuten-life.co.jp/ |
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所在地 | 東京都港区台場2-3-1 |
設立 | 2007年10月1日 |
資本金 | 25億円 |
システムの開発・検証に必要なテストデータ作成の手間・労力が問題に
楽天生命保険は、楽天グループの生命保険会社である。2008年に生命保険業の営業を開始、2012年10月に楽天グループの一員となり、2013年4月に社名を楽天生命保険に変更した。
現在は、ネットを活用することでコストを下げ、手頃な保険料を実現した保険を、インターネットで販売している。また、従前からある代理店チャネルでは、全国の代理店が対面による保険販売をしており、ネットとリアルの利点を融合させた新しい生命保険会社として注目されている。
同社は、現在、基幹システムの更新を行っている。そこで重要になるのが、開発・検証用のテストデータだ。生命保険会社である同社のデータベースには、顧客の非常にセンシティブなデータが保存されている。システム開発には、これらのデータ、しかも数百万件レベルのデータが不可欠だが、もちろんそのまま使うわけにはいかない。個人情報をマスキングし、個人が特定できないように変換したうえで、システムの開発・検証に利用しなければならない。
ところが、従来使っていたツールには大きな問題があった。IT企画部 マネージャー 善浪 聖氏は次のように説明する。
「これまでのツールでテストデータを作るには、データベースからいったんCSVデータをはき出し、それを変換したあと、データベースにロードする手続きが必要でした。ところが、そのツールは改行をうまく処理できず、データベースにロードすることができない場合があるなど、問題が多かったのです。このため、多くの処理を手作業に頼らざるをえず、テストデータの作成に2~3名で約1週間かかっていました」(善浪氏)。
こうした事情があったため、テストデータの作成は年に数回にとどまり、開発の現場からは、よりリアルに近い新鮮なテストデータを求める声が上がっていたのである。
個人情報を確実にマスキングでき、データベースからデータベースに直接取り込める「テストエース」を選択
そこで同社では、いくつかのテストデータ作成ツールを比較・検討した。そして、個人情報をマスキングしたデータを別のデータベースに直接はき出せるシステムエグゼのテストエースを選択することになる。それが、2013年10月のことだ。
テストエースを選択した理由を、IT運用部長 大岩政博氏は次のように説明する。
「比較したのは3製品です。1つめの製品は現在使っているツールですが、これはCSVにデータをはき出す必要があり、作業負担が大きいことが問題でした。2つめの製品は暗号化に問題があり、日本語が正しく表示されないため除外しました。これに対し、テストエースはデータベースからデータベースに直接はき出せて、個人情報を確実にマスキングできる点を評価しました。また、個人情報の入っているフィールドを自動的に見つけられるなど、担当者の作業を支援する機能が充実していた点も、当社のニーズに合っていました」(大岩氏)。
なお、取材時点では、まだテストエースの本格稼働にはいたっていなかったが、最終的には、バッチ処理で定期的にテストデータを生成できるようにする予定だという。
「本番のシステムと開発環境はネットワークが分離されているため、作ったテストデータを開発環境に持って行くときは人手が必要です。しかし、テストデータを生成するところまではバッチ処理で自動化し、週次または月次で更新したいと考えています」(大岩氏)。
2~3名で1週間かかっていた作業が2日に短縮され、システム開発・検証での活用にも期待
本番稼働はもう少し先の予定だが、テスト段階でも、テストエースによる省力化の効果は出ているという。
「現在はまだ完全にバッチ化されていないため、人手による作業が必要ですが、それでも、これまで1週間かかっていた作業が2日に短縮されました。しかも、データ処理に時間がかかるだけで、人間が実際に手を動かすのはもっと短い時間です。今後、バッチ化が完了すれば、ほぼ自動化できると期待しています」(善浪氏)。
テストデータ生成の自動化により、つねに新鮮なデータをシステムの開発・検証に利用できることへの期待も大きい。
「顧客データはつねに変化していますので、システム開発・検証の質を高めるには、できるだけフレッシュなデータを使うことが重要です。例えば、従来は、データが足りないとき、開発者自身がデータを補っていました。しかし、開発者がデータを入力すると、どうしても想定内のデータになりがちです。現実には、ユーザーは開発者の想定外のデータを入力するものです。その意味でも新鮮なデータを使うことが求められているのです」(善浪氏)。
また、個人情報保護という観点では、個人情報を自動的に見つける機能が有効だと、善浪氏は次のように続ける。
「以前のツールでは、1つ1つのカラムに対し、個人情報が含まれているかどうかを目で確認したうえで、そのカラムを暗号化するパラメータを設定していました。しかし、テストエースは、個人情報を自動的に見つけてくれます。しかも高速です。もちろん、最終的には目で確認しますが、それでも作業は大幅に効率化できました。また、実際に使用してみて、個人情報を見つける精度も非常に高いと思います」(善浪氏)。
個人情報保護と質の高いシステム開発の両立に不可欠なツール
楽天生命保険にかぎらず、保険・金融関連の企業が、非常に高いレベルの情報管理を要求されるのはいうまでもない。
一方、楽天生命保険のように、インターネットでの保険販売を行う企業にとって、ユーザーとの接点であるWeb、その背後にあるさまざまなシステムの使い勝手や操作性、信頼性は、ビジネスに直結する重要な要素だ。万が一、そこに不具合が発生すれば、顧客に迷惑がかかるのはもちろん、ビジネスそのものへのダメージも計り知れない。
「当社は生命保険会社ですので、一般的な個人情報よりも、はるかに高いレベルでの情報管理が求められています。万が一にも、情報が漏洩しないこと、システムに関する不具合を発生させないことが求められます。したがって、厳重な情報管理が求められる一方で、システム開発の質を担保するため、できるだけフレッシュなテストデータを使うことも必要です。この相反する難しい取り組みを両立させるには、テストエースは不可欠なツールなのです」(大岩氏)。
今後、テストデータ作成の自動化が完了すれば、楽天生命保険のシステム開発はよりスムーズになり、信頼性はさらに高まるだろう。金融機関レベルではなくとも、厳しい管理を要求される情報を扱っている企業は多い。こうした企業にとって、テストエースを使ったテストデータ作成の自動化の取り組みは、大いに参考になるのではないだろうか。
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※掲載内容はすべて取材当時のものであり、現在とは異なる場合があります。