コラム
COLUMN
製品名:EXEX生産管理
連載コラム6 BOIとIPOについて
タイ投資委員会(Board Of Investment =通称BOI)の恩典を利用している外資系製造業・商社には、在庫管理にも一定以上の管理が求められています。本日は、BOIとIPOとシステムとの接点についてお話します。
BOIとは?
タイ投資委員会(BOI)が外資系製造業を誘致するために設けている種々の恩典のことを、日本人経営層の方々はかなり短縮して「BOI」と言っているように思います。この恩典は労働集約的な業種には与えられず、タイ国内にはない技術を有する企業が主たる対象となっているようです。
BOIが定める恩典には大きく2つあり、1つは関税、法人税等の租税面での恩典、2つ目は労働許可や土地借り上げ期間などの租税以外のサービスです。
BOIの租税サービスで特に神経質にならなければいけない点は、輸出するための原材料の在庫管理です。輸出のためにあらゆる原材料の関税が免除になるわけではなく、BOIに認可された製造品目(BOIプロジェクトコードで管理される)に関わる原材料のみが輸入関税の免除特典が与えられます。そのためには、あらかじめ製造品目の生産量はBOI当局に申請し、またそのための原材料の輸入量もFORMULAから計算し申告しなければなりません。輸出実績に基づき、輸入した免税原材料をどれだけ消費したかも記録しなければなりません。
簡単に申しますと、タイ政府が免税という恩典を与える変わりに免税品の横流し等の不正ができないように監査される義務がある、ということであろうと思います。またこの輸入・輸出は商社や自社以外の企業が行っても恩典は受けられます。
IPOとは?
通称「BOI」と呼ばれる恩典が外資系製造業向けであるのに対し、通称「IPO」(International Procurement Office)と呼ばれる恩典は商社・卸売業向けのものです。
関税恩典の基本的な考え方・規制は「BOI」とほぼ同じです。また、IPOの恩典認可を受けるためには、在庫管理システムを持っていることも条件になっているようです。
BOIとIPO管理のためのシステム
弊社もこれまで、BOIとIPO恩典を受けている企業様向けのシステム構築を経験しております。
基幹業務システムとBOIとIPO恩典・規制との接点は、BOIプロジェクトコードごとの生産量と原材料の輸入量・消費量を正確に当局の監査に耐えられるレベルで管理していくことだろうと感じております。
ただし、企業によってどういう形態でこの恩典を使うかは微妙に異なります。例えば、輸入・輸出を自社で全てやる場合もあれば、一部または全部を商社を通すなどやり方は一様ではありません。そのため、画一的なBOIとIPO管理のためのシステムというものはありえない、と筆者は考えております。
しかし、顧客の注文番号・品目番号、製造指図書、原材料発注書番号、仕入実績(Invoice番号)、製造指図書と紐付きの製造実績これらが全て追跡できる生産管理システム、販売管理システムを活用していれば、BOIとIPO管理に求められる管理帳票は集計だけの問題に帰結されることが多いとも言えます。
あるいは、BOIプロジェクトのための受注、発注、生産などの全ての情報とBOI以外の情報を物理的に分けてしまうという方法もあります。この方法がシステム管理者から見た場合最も簡単な管理方法ですが、実際のオペレーションでは同じ担当者がBOIプロジェクト品目もそれ以外も管理していることが大半で、システム管理者にとっては楽な管理方法でも、現場担当者にとっては受け入れ難いことも多くあります。
本件も難しく考えると難しくなりますが、簡単に考えれば理論上つじつまが合う集計をコンピュータでできていれば、誰もそれを咎めることはできない、と筆者は考えております。
なお、EXEX生産管理システム、EXEX販売管理システムの中核機能を活用すれば、企業様がどういう形態でBOI恩典を活用されていようとも、簡単なアドオン機能でBOIとIPO管理に必要な管理帳票はほぼ全て出すことができる、と筆者は考えております。
EPZでの在庫管理リスク
BOIの免税恩典措置は、EPZ(export processing zone:輸出加工区)で操業されている企業様にとってもご参考になろうかと思います。EPZでは基本は100%輸出でしょうからあえて集計する必要はありません。
しかし、きちんとした在庫管理システムがない状態でEPZで何年も操業されている会社さんは、筆者の見ましたところ在庫管理レベルが決して高くはなく、当局に遡って監査されて追徴課税を払うはめになった、などというお話も時々耳に致します。
免税恩典を受けている会社様は、リスク回避のためにも生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システムの早急な構築を検討すべきかと思います。